ビーバー・テイル

beaver tail 種類:お菓子
場所:オタワ
(カナダ)
価格:C$3.50

 名物に旨いものなし!とはよくいったもので, 日本全国たいていどこのお土産屋さんを覘いても, これはありえないだろ!!というものが,必ず一つは鎮座している.

 それは海外にいってもそうか,と尋ねられると 少々困ってしまう.というのも,日本のごとく各都市ごとに これといったものがない.

 その国の名物(土産物)は,各国そろっているだろうし, それらは,外れることは少ない.当たり前だ. その国を象徴するかのごとく売られているお土産が, 不味くては国の威信に関わってくる.

 しかし,そういった国を代表する土産が飛びぬけて旨いかどうかは, 個人によるところだが,僕にはそうは思えない. ありきたりであり,万人受けするものである.まあ,だからこそ 国を代表する土産になりうるのだろうけれども.

 カナダと言われて,一番最初に誰もが思いつくであろう土産物. それはメープルシロップ系統のものだ.シロップにクッキー, バター,チョコレート,そしてポテトチップスなど,あらゆるものに メイプルが入っていて,土産物として活躍している.

 他には,鮭やロブスター,アイスワイン,ネイティブの人々の工芸品など 多くのものがあるが,では,ウィンザーはこれ!トロントはこれ!といったものは あるのだろうか?

 正確にはある.どの町にも,キーホルダーやTシャツなど,各種ロゴの入ったものが どこかしらに売っているのだが,食べ物となると難しい. はっきりいって,日本ほど商魂が激しくない.

 しかし,カナダは移民の国.それぞれの都市でいろんな料理が楽しめ, フランス系が多いところでは,おいしいフランス料理が,イタリア系ではイタリア料理が と,それはそれでいい味を出しているのも事実である.

 さてさて,カナダにいる動物といえば,何を思いつくだろうか? 豊かな自然が広がり,北極圏まで抱え込んでいるカナダでは多くの動物が生息しており, 例えば,カリブー,ムース,グリズリー,ジャコウウシ,シャチ,シロクマなど, あげればきりがない.

 そんななかに,その動物もいるわけで,それはというと,ビーバー(Beaver). 今まで2回ほどお目にかかったことがあるが,すぐに逃げてしまい,なかなか じっくりと拝見することはできない.

 その姿は愛らしく,カナダのマスコットともなっているが, 人間というものは残酷だ.なんと愛らしいビーバーの尻尾(Tail)を食べることができるのだ!!

 油で揚げた平べったいそれに,お好みにより,シナモン,チョコレート,メープル等, 色々な物を乗っけて,熱々のうちにかぶりつく.

 トッピングによって,夢のような甘さのビーバー・テイル(Beaver・Tail). しかし,ビーバーの愛くるしい表情を思い浮かべるだけで,胸に熱いものがこみ上げてくる…わけもなく, それは,パンのようなものを油であげたお菓子である.

 お店をしばらく覗いていると,圧倒的にシナモン&アップルが売れていたが,ここは カナダらしくメープルを頼んだ.観光客に人気なのであろう.店の厨房では次々に作られていて, 待つことなく,手に入った.

 たっぷりとメープルシロップがかかっているビーバーテイルに,さっそくかじりついてみる. …甘い.なんていう甘さなんだろう.砂糖をコンデンスミルクでのばしたかのような甘さ.

 実際には,ミルクの味は一切しないが,とりあえず甘い. メープルシロップといえば,ちょっとした苦味があって,めちゃくちゃ甘くないはずなのに, どうやら,メープル100%ではないようだ.…というか,ゼッタイに違う. 香り付けだけのように感じる.

 では,土台の生地はどうだろうか.これもまたきつい.油を食べてるかのごとく 油っぽい.生地はおそらくナンを揚げたようなもので,大きさもそれぐらい. しかし,油がとにかくきつく,食べていて気持ち悪くなってくる.

 一緒に食べた人は,前はこんなに油っぽくなかったと話していたので, たまたまそういう日だったか,味がおちたかどっちかだろう. そして,シナモン&アップルがうけている理由がわかった. それほど甘くないからだ.

 油はムリをすれば平気なのだが,いかんせんシロップが甘い. 甘さだけはムリしてなんとかという次元ではない.飲みものなしでは,耐え切れなかった. しかし,日本の甘さではもう物足りなくなっている人にはオススメかもしれない.

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