SCREECH

Famous Newfoundland Screech
Rum

Screech 種類:ラム酒
場所:ニューファンドランド
(カナダ)
価格:$13程度(375ml)

 今回紹介するものは実にどうするか迷ったものである.どう迷ったかといえば, この食べ物コンテンツにするか,雑記で終わらせるかというもの.というのも, よく考えたら僕はお酒の味がよくわからない.で,今回はラム酒なのだ.

 今までの人生でラム酒を飲んだ記憶がほとんどない. たぶんどこかで,例えばラム&コークとかいう代物で, 飲んだことはあるのかもしれない.

 しかし,ありたいていに言って,こういったビール以外のものを 飲むときというのは,まず最初にビールを飲んで,その次に 飲むといった順序の場合が多いのだ.

 で,僕を知っている人がいるなら想像もたやすいのだが, 僕はお酒に強くない.強くないというか弱い.

 ビール1本で顔は真っ赤. それでも,別に倒れるわけでもないので 飲み続けるわけなのだが,3本も飲めばすでに正しい判断は できない状況になっているような気がする.

 というわけで,ラム酒が本来どういうものなのか さっぱりと予備知識がないので,まともなレビューになるかどうかは 大いに疑問に残るとこだけど,まあ,思ったことを素直に書くことにしましょう.

 さて,Newfoundlandには,ある有名なお酒がある. 有名といってもたぶん世界中にその名が轟いているかといえば そんなレベルではなく,たぶん北米ぐらい.

 僕が住んでいるWindsorには世界的に有名なウィスキー Canadian Clubの蒸留所があるけれども,そこまで有名なお酒ではないのは間違いない.

 ただWindsorのLCBOでもその姿を見ることができたので, やはりある程度は名前は知られていると予想できる.

 で,そのお酒はなにかといえば,Screech(スクリーチ)といい, ラム酒である.裏のラベルを見ると

A Jamaican rum.
A Newfoundland tradition.
A truly Unique experience.

SCREECH.
The sprit of Newfoundland.

と書かれている.

 さて,どうしてこのようなお酒を知るようになったのか? それは僕の教授が教えてくれたからだったりする.

 うちの教授はウィンザーにいるときでもスコッチを毎晩飲んでいるそうで, けっこうなお酒好きだ.

 ある日の夕食の席でお酒の話になったときに, ここにはかなり強い酒があるから,話の種に買ってみれば?と 教えてくれた.

 その時は50度ほどという話だったけれど, 僕が買ったのは40度のもの. つーか,他に種類はなかったので,選びようがなかったのだけれども, もしかしたらSt.John'sといった大都市に行けばもっと強いのが 手に入るのかもしれない.

 まあ,正直な話,40度も50度も 僕にとってはかなりアルコール度数が 高い部類に入るわけで,基本的に普段は手を出さないレベルとなってしまう.つまりお土産.

 ただ話の種とはいえ,せっかく買ったScreechを飲まないのはなんだかもったいない気がして 結局,その日のサンプリングが終わると毎日モーテルで コップ一杯飲んでいた.

 で,これがおいしいのだ. 香りは強いお酒特有のアルコール!!って感じがせずに やや甘く,味もくせのない味. 後味もかすかに甘さを感じ, 糖蜜をなめた感じが微妙にする.

 ちなみに僕は基本的に水割りでこのお酒を飲んでいた. コーラで割ると,なにか奇妙な味というか,コーラの甘さはどこかへ いってしまい,Screech本来の美しい甘さもこれまた消え去って,なんだか 薬っぽくなっておいしくなかった.

 割合は1:1.5ぐらいだっただろうか? 部屋で適当に氷をいれて,Screechをそそいで, 水を入れるという感じでだったのではっきりとはいえないが, 1:2ぐらいになると薄すぎて味がぼやけた.

 いちお補足としては, 教授にこれスムーズに飲めますね. おいしいですよ〜.といったら, スムーズ?と変な顔をされたのを書いておきたい.

 ちなみにうちの教授は,St.Lawrenceの小さな酒屋さんで お気に入りのスコッチ(J&B)が手に入らなかったため, 他のラム酒を購入していた.

 こちらは世界的にも有名な,Bacardi(バカルディ).

 ラベルを見てどっかで見たことあるとお酒に疎い僕ですら 思ったほどなので,きっと皆さんも見かけたことがあると 思う.ゼッタイに日本にも売っているはずだ.

 で,せっかくだから飲み比べてみれば?といわれ 少々頂いた.

 教授は基本的にコーラで割っていたけれど, それだとラム酒本来の味と香りがわからないような気がするので Screech同様に水割りでの挑戦.

 …うぉ.アルコールくせぇ. ものすごくアルコールを飲んでるって感じがする. 口に入れたときも,強いアルコールって感じのモアッとした ものを感じるし,後味もきつい.

 これはScreechのほうが飲みやすいのではないか?

 ということで,教授にこれ(Bacardi)はアルコールっぽくて 苦手です.Screechのほうが僕は好きですというと いやいやアルコールっぽいか?こっちのほうがスムーズに飲めない? というお答えを頂戴してしまった.

 Bacardiをコーラで試してみたらきっと答えは 違ってくるのだと思いますが,少なくても水割りでは 僕はScreechのほうが好きだ.

 人生で初めてまともに飲んだラム酒がこのScreechなわけで, そこでこれはうまい!というものに出会えたのは けっこう幸せなことだろう.初めてのラム酒がBacardiで, しかも水割りだったとしたら,たぶん二度とラムには手を出さなかったと思うし.

 さて,上で,Screechはジャマイカ産のラム酒で ニューファンドランドの伝統のお酒. みたいなことを紹介した(英語の部分).

 これを疑問に思った方もいるんではないだろうか?

 まずラム酒というのが本来,西インド諸島の特産 であることを押さえておきたい.Bacardiはキューバのお酒だしね.

 ではなぜ,Newfoundlandの伝統となったのだろうか? そこにはこのScreechがScreechたる由縁がある.

 これ以降はもしかしたら,ここまでにScreechに興味を 持った方の興味を一気にそいでしまう危険性がある. ので,なんの先入観ももたずに,このScreechを 飲んでみたいという方はここで読むのをお勧めする.

 警告はしたところで,話を続けることに.

 Newfoundlandはその気候から大きな木が育ちにくい ところなのだ.多くの木々は高くても人の背丈よりやや高い程度. ひざ下ぐらいのものも珍しくない状況だ.

 このような状況では木材というものが 非常に貴重な存在となる.

 昔(1700年代),ニューファンドランドは, ジャマイカにお魚(塩漬けの魚)を輸出し,それと引き換えに ラム酒を輸入していたのだけども,そのラム酒を どうやって島に持ってくるか?という問題点に直面した.

 樽に必要な木材は,貴重品で おいそれと使えるものではない.

 ではどうしたらいいのか?簡単な話で, 目の前に空いている樽がある.それを使えばいい.

 というわけで,塩漬けの魚をいれていた樽に ラム酒をつめて持って帰ってきたわけだ.

 塩漬けの魚のエキスが染み込んだ樽に いれられたラム酒. なんとも奇妙な感じがするけれども, これがなんともいえないフレーバーをラム酒に 付け加えたのだった.

 で,そのScreechという名前だけど, どうもつい最近まで名前がなかったそうだ.

 20世紀に入りニューファンドランド政府が このお酒を売り出したときもラベルがないボトルで 売っていたそうで,名前がついたのはここ数十年のお話.

 このお話はまた機会があれば雑記ででもというわけだけど, とりあえず,Newfoundlandの特産,Screechは 塩漬け魚の樽に入れられたラム酒というわけだ.

 繰り返しになるけれど,こいつはおいしい. 僕だけがおいしいと感じるならば,今の今まで 生産が行なわれているわけがない.

 きっとその辺のLCBOでも手に入れることができるはずだけど, せっかくなら現地,Newfoundlandで飲みたいもの.

 もし行く機会があるならば,挑戦してはどうだろうか? 個人的には水割りがお勧めだ.

戻る

ホームへ