入国

入国審査はやっぱり長蛇の列ができていた.

だいたいどこの国でも同じだなぁと思いつつ
列に並ぶ.

20分,いやそれ以上か.
ぼけ〜と待っていて, やっと順番が来た.

さて,どんな質問でもこい.
地質,マグネ,たいていのことには答えられるぞ!
と意気込んでいってみたら,あっけなく終わった.

僕が交わした言葉.

Hello.
Thank you.

…なんだ?そんなんでいいのか?
オーストラリア入国審査.

ビザを短期商用でとってるんだから
それがどんな商用かきかないのか?

つーか,入国カードの目的の欄が“その他”に
なっているのに,その他のままでいいんかい.

あまりのそっけなさに,ええぇぇぇ.と驚きつつ,
特にきかれないのなら,答える必要はないので
少々ほっとした.

どの国の入国審査にしろなんにしろ
きかれたこと以上も以下も答えない.
それが基本.

やぶ蛇なんてごめんだ.

入国審査が終わったら,預けてあった
荷物を受け取って税関審査.

してみたら,こいつが入国審査なんて
かわいくみえるほどの超長蛇の列.

まじかよと思いつつ,これを突破しないと
入国はできないので,再び列の最後尾に並ぶ.

しばらくまって,やっと番が来た.

検査の前に,なにを持っているか聞かれたので
正直に,水とガムを持ってますと解答.

じゃ,あそこの番号に並んでといわれたので
その通りにそこにいく.

で,荷物を検査にかけたわけなのだが
うん?と検査員が不思議な顔をした.

これあなたの?
はい.
なんかハンマーみたいのはいってるよね?
はい.ハンマーと鑿が入ってます.
あ〜,鑿か.初めてこんなん持ってきた人みたよ.
そうなんですか.

別に鑿の使い道は聞かれなかったので
答えることはなく,そのままお咎めなしで
通ることができた.

それにしても,思わぬものに反応された.

って,当たり前か.
鑿…思ったのだが,これが“のみ”と読むことを
知っている人はどれだけいるのだろう.

もちろん僕は知らなかった.

つーか,まず鑿という言葉すら頭に
浮かんでこなかった.

英語でchiselというのだが,
僕の持ってきたそれは僕が知っている鑿とは
少々異なった色と形をしていたので
chiselというものなんだと英語で覚えていた.

で,今,この文を書くに当たって
英和辞書を引いてみて初めて,鑿という名前に出会い
おぉ,いわれてみれば…とちょっと感動しているところ.

ちなみに,鑿は岩石を切り出すのには必要不可欠なもので
サンプリングの必須道具となっている.

さて,無事に入国審査,税関審査を通り越したら
ようやくオーストラリアはブリスベン空港.

ただしブリズベンが最終目的地ではない.
乗り換えてタウンズビルへ.

ここでもやっぱりグダグダだった.

 

戻る