留学までの道-1-

 初めて訪れた国は,カナダでした.高校主催の語学研修に参加したのが全ての始まりだったといっていいでしょう. そこで出会った人々,自然,文化…全てが素晴らしかった.そしていつしかこの国に住んでみたいと 思いました.

 住む.その行為は正直難しい.まず第一に僕は外国人だ.すなわち働くとしても 働かないとしても,ビザがいる.働かないというのは,リタイヤビザを使うことを意味しており, 30年ぐらい先にならないと手に入らないから,現実的ではない.といっても,働くにしても 語学力がない以上,働けるわけがない.そんなわけで,真っ先に頭に浮かんだものが ワーキングホリデーでしたね.

 ワーキングホリデーは一生に一回しか使えないため,いつ使おうかと悩んだ時もありました. 大学院に落ちたら,後期試験は受けず,カナダで一年過ごそうと決めていたわけですが, 不幸(?)にも合格してしまい,結局使うことなく今に至ってます.

 ただ留学と言うものが一番現実的だなと思ってました. 今僕は地球科学を専門にやってるわけだけど,もっと興味のあるものがあって, 大学2〜3年のときですね.大学を辞めて,やり直すなり編入するなりしようかなと考えてました.

 人類学(ネイティブアメリカンの文化)を勉強したかったんです.それで,カナダの大学を調べたりも しましたが,これで食っていけるのか?とふと疑問に思い,止めました. まあ,現在の研究で食っていけるか?と聞かれたら,答えはNoですが…. ただネイティブアメリカンの文化や芸術などは年をとってからでも,趣味でやっていけそうですし, その選択を後悔はしていません.

 さて,大学院に合格してしまったので,とりあえず修士はそこで過ごそうと思ってました. ただ大学院に行くと決めた時点で,博士号取得を目指そうという思いがあったので, 必ず博士課程は留学すると決めてましたね.

 転機は2003年の11月にやってきました.大学で学会があり,そこに僕の研究分野では トップに当たる人が招待されてくることがわかりました.これはまたとないチャンス! 日帰りで富山を離れてしまう教授と話す機会は,殆どない.ならば…お昼ごはんに誘い出し, 博士課程をその教授の研究室で行いたい旨を伝えました.

 今思えば,学会でいろんな先生方がきていて,みなさん話をしたいと思ってるなか, よく誘い出したと思いますよ.ただ真剣にそこに行きたいと考えていたし,この程度の 行動を起こさないとチャンスは掴めないですよね.

 話をすると,今すぐにでもおいで!といってくれました. これはその大学が博士課程からの入学を(基本的に)認めておらず,修士号を日本で 取得していても,またその大学で修士号を取得する必要があったからです.

 ただ,おいで!といわれても,大学入学には条件があります.そうです,TOEFLです. ここから長く,そして数々の問題を起こした英語との戦いが始まったのでした.

   

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