夜食?

ようやく乗り込んだ機内.
席について周りを見回してみれば,
案外空いていることに気がついた.

さすがはゴールデンウィーク終盤というだけはある.

僕は基本的に通路側の席を取るのだけれども
そのときの場所は中央の4人掛けの席の端.

反対側の端にも人がいたが,幸いにも
中央の席2人分はだれも来ることがなく空いていた.

デトロイトから名古屋に来たときは
ほぼ満席だったので,そんな状況を覚悟していたのだが
これは嬉しい誤算だ.

ご飯を食べたしのんびりとするか.
雑誌はどんなものがあるんだ?
おぉ,さすがJAL.日本語が盛りだくさんだ
と思っていると,飲み物とスナックがやってきた.

夜食でいいかと水をもらい,スナックをボリボリ
かじりながら雑誌に目を通していると
いい感じに眠くなってきた.

ここで頑張る必要はまったくもってない.

そのまま眠気に身をゆだね
うつらうつらしていると
何かの気配を感じて目がさめた.

してみるならば,目の前のトレイに
シールが貼られていて,隣の通路を見るならば
スチュワーデスのお姉さんが食事を配っているではないか.

僕が起きたのに気がつくと,
にこやかな笑顔で,お食事はどうされますか?
と訊いてきた.

えっ,食事?もしかして夕食つきなの!?
空港でがっちりおろしトンカツ定食食べたよと
思っていたのだが,なぜか口は勝手に
じゃあ焼きそばでとか答えていた.

目の前に焼きそばが置かれ
ようやく現実に戻ってきた自分.

明らかに全て食べきれる量じゃない.

メニューは,クラゲのサラダ,エビやイカを使った前菜,
大豆ハンバーグがのっかっているあんかけ焼きそば.
ロールパン.デザートにパンナコッタ.

あまりあんかけ焼きそばというものは好きではないのだが
それがお腹がいっぱいとなれば,さらに食欲は減衰していく.

減衰していくのだが,せっかく貰ったのに
そのまま食べないで(パンナコッタは食べる予定だったが)
返すのはあまりにももったいない.

自分のお腹に相談するならば,なんとかいけそうだ
ということで,パンは勘弁してもらって,他のものは
ただただお腹につめていった.

こうかくとなんとも不味そうな気がするのだが
パンナコッタはおいしかった.

別腹というやつだ.

こいつも別バラの食後にコーヒーを貰って
あまりのお腹いっぱいさに眠ることもできず
ぼんやりとしていると,オーストラリアの入国カードが配られた.

あぁ,そうだ.こいつを書かなくちゃいけない
と思うも,よく考えたら,ペンの1本も持っていない.

手荷物のなかにすら1本もペンを入れていなかった.

隣に誰かいるのならば,借りるのだけれども
お隣は通路を挟んでさらに椅子1つ飛ばしたところか
中央の2つの椅子を乗り越えた先.

どちらも声をかけるのは非常に難関.

となれば,取る方法は一つ.

スチュワーデスさんに,すみません.ペン持ってないですか?
といって,ペンを借りた.

借りたというか返すのをすっかり忘れて
そのままJALのロゴ入りペンを持ってきてしまったので
正確には借りていないわけだけれども….

 

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