古地磁気学とは

 さて,前回は地球科学に関して簡単に説明したわけですが, 今回は,僕が専門にしている古地磁気学に関してです.といっても, これも一学生の戯言.なるべく簡単に説明したいと思います.

 磁石が南北を指すというのは,かなり古くから知られていたことです. 発見されたのは中国で,漢の時代には指南杓などがありました.そして, 磁石のさす北と真北には差がある(偏角)ことは,ヨーロッパ人が発見したことです.

 地球磁場の観測は,16世紀にイギリスはロンドンで始まりました. 19世紀になるとガウスが地球全体を見通した地球磁場の解析方法を提案します.

 さて,地磁気は一定ではありません.時々刻々と変化し,それは数秒から数十年以上の スケールです.地球磁場がどのような変化をしてきたか?この問いに答えるためには, 16世紀からようやく始まった地磁気の観測のデータだけでは不可能です.

 そこで,より長い周期での地磁気変動の解析を可能にする 古地磁気学(Paleomganetism)の登場です.古地磁気学では, 岩石の磁化を測定して当時の地磁気の方向や強度を求めることを行っています.

 これは,火成岩や堆積岩がそれらの岩石ができたときの周囲の磁場を記録している ことを利用しています.磁場の化石とでもいったほうがわかりやすいのでしょうか?

 地球科学の中では,一般的にはマイナーな部類に属すると僕は思う 古地磁気学ですが,その功績は大きいです.例えば,地磁気逆転の発見, 大陸移動説の検証などがあります.

 日本では,日本海拡大に伴う日本列島の折り曲がりの発見が あります.また,考古学の対象となる過去約一万年間の地磁気を調べる考古磁気学の分野では, 遺物などの残留磁化を用いた地磁気永年変動が詳しく調べられており, 焼土遺構などの年代指標の一つとして使われています.

 

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