3日目-午後(キャベンディッシュ)

 お昼ごはんは何を食べるか.それはすでに頭の中にはあった. シャーロットタウンでも食べたP・E・Iといえば,これ. ロブスター.シャーロットタウンでも充分に安いのだが, このキャベンディッシュ周辺ではそれ以上に安く食べることができる.

 本来,車があれば,ロブスター・サパーという,教会が慈善事業の一環として ロブスターを出したスタイルをとるお店に行くことができるのだが, 残念ながら車はない.しかし,それでも,6号線沿いにはいくつもお店があるのである.

 6号線(Chemin Cavendish Road)を西に歩いていくと,1lb(lb=ポンド), ○○ドルとかかれた レストランがそれなりにたくさんあった.西に行くほど安くなっていく傾向があるような 気がするが,どこまで店があるのか謎なのと,お腹がすいたということで, あるお店に入った.

 たしかロブスターは,1ポンド17.99ドル.悪い値段ではないだろう. さっそく昨晩に引き続き,ロブスターを注文する. まずでてきたのは,ロブスターセット.小さなエプロンみたいなものと, ロブスターの食べ方がかかれたナプキン.それに身をほじるカニ用(?)フォーク. わくわくしながら待っていると,ついに来た.

ロブスター
ロブスター

 どかーんと皿に鎮座する真っ赤なロブスター. これこれ.これを食べにここに来たのだ.2日連続でロブスターなんて 我ながら贅沢だと思いつつ,まあ,旅行だし♪ということで, さっそくロブスターに取り掛かった.

 まずは頭から.続いて,足を一本一本しごくようにして食べていく. 旨い.味は昨日食べたロブスターとたいして変わらない. それがいい.ロブスターの味だ.溶かしバターは苦手なので, 少々レモンをふり,そのままむしゃぶりついた.

 ここで,ちょっと休憩.付け合せのマッシュポテトへ. これは…コメントを控えさせていただく.不味くはないのだが, 旨くもない.カナダのたいして旨くないマヨネーズの味が前面にでて, 食べることができる程度の味.

 やはり浮気はよくない.といいつつ,しっかりとマッシュポテトをたいらげ, 残りのロブスターに取り掛かる.そう,豪華なツメだ.しかし,実際のところ, 僕はこのツメの部分が好きではない.旨みがないような気がするのだ. なにかゴムとかまぼこを足して2で割った感じ.不思議とダメである.

 ツメがダメでも,ロブスターには胴体がある. ここが旨い.プリプリで食べていて幸せを感じる.もりもりと食べ続け, 気づいたら,殻だけになっていた.

 カニと一緒で,ロブスターも会話がなくなる. でも,会話はいらない.それがロブスター. 必死になって格闘すればいいのだ. 大満足で会計を済ませると,再び足を西に向けた.

 そう,観光案内所から,西に向かって歩いてきたのは,別に ロブスターのためではない.いや,ロブスターも大きな目的なのだが, もう一つ.キャベンディッシュ・ビーチというビーチに行くのが, 目的であった.

 キャベンディッシュ・トロリー(Cavendish Trolly)という乗り物に のれば,ここにも簡単にいけるのだが,残念ながら45分程度待つことになる. しかし,相当距離がありそう.…歩くか.友人との相談の結果,トロリーは使わずに 歩いていくことに決定した.しかし,これが大きな悲劇となろうとは, まだ誰も知らなかった.

 炎天下の中,歩いても歩いてもつかないビーチへの曲がり方. 地図を片手にここがこれだから,もう少し先か.といいつつ, ひたすら歩く.歩く.歩く.

 いい加減疲れた頃,ようやくビーチに入る曲がり角に到着. しかし,それが最後ではない.むしろここからが始まりなのだ. 歩道もあるかどうかわからない.いや,歩いている人なんて, グリーン・ゲイブルスを出てから,誰一人としてみていない. やっちゃった感が大いにあるが,もう後には引けない.再び歩き始めた.

 緑溢れる美しい景色なのだが,そこから覗く海の青色の遠いことといったら. 無限のかなたに感じ,ぶつぶつ文句をいいながら,それでも歩き始めた.

風景
風景

 ヒッチハイクを考えたが,それ以前に車が殆どいない. 腹を据えて,歩いていくと,6号線からビーチに曲がってからの中間地点. 国立公園料金所に到着.

 車の場合,どれだけかお金を払う必要があるのだが, 徒歩なら無料.ちゃんと係員の人にきいたのだから,間違いない. …誤解のないようにいうならば,料金が必要かどうか訊いた訳ではなく, あまりにも遠い道のりに,これであってるのか訊いたのだ.

 叫びたくなるような遠さ.すると後からトロリーが何事もなくなく 抜かしていった.あぁ.素直に45分まっていればよかった. 二人の頭に同じ文句が浮かんだのは,疑問の余地はないだろう.

 いい加減にしろという思いが爆発しそうになったとき, ようやくビーチの入り口が見えた.嬉しくなり,足取りも自然に速くなる. そして,ようやく到着.長かった.観光案内所からだと,約6kmの道のり. 行こうと考えている人は,一時間待とうが,すなおにトロリーに乗ることを強くオススメする.

 トイレにまずは行き,そして,ビーチを散策.海で遊んでいる人もいれば, 日光浴を楽しむ人々もいる.夏だ.ここには,夏の典型的なシーンがある.

キャベンディッシュビーチ
キャベンディッシュ・ビーチ

 美しい砂浜で,東の方にはなにか赤い岩みたいなものがある. せっかくきたのだから,そっちに歩いていく. 途中,海の水を触ってみたり,磯の香りを充分にすったり… ここに来たかいがあった.

 海の水を触ったとあるが,別に海は珍しくない.静岡県の出身. 岸壁で釣りもよくしたし,なんてことはないのだが,目の前に広がるのが, 大西洋だと考えると一味違う.

 全ての海は繋がっている.そこには太平洋も日本海も大西洋も 違いはない.しかし,わかっていてもワクワクするものだ.

 しばらくすると,岩に近づいてきた.赤茶色の岩は,おそらく ヘマタイトによるもの.しかし,そんな説明は友人Sには面白くなかったようだ. 地球科学なんて所詮はそんなもの.少々へこむ.

岩

 子供用にあちこち飛び回り,記念写真をとっていく. しかし,残念ながら時間が来た.何の時間かって?もちろんトロリーの時間だ. 一時間に一本のこいつを逃したら,しゃれにならない.もう歩くのはゴメンだ. 再び,海と戯れながら,乗り場に向かった.

 トロリーの値段は3ドル程度.乗り降り自由で一日何度でも使える. 一時間に一本なので,不便といえば不便だが,やはり便利である. カナダらしく,時間を5,6分オーバーして,動き出した.

キャベンディッシュトロリー
キャベンディッシュ・トロリー

 なんという速さなんだろう.あれだけ苦労した6号線からビーチへの道のりを10分もかからず 行ってしまう.そして,各観光名所をまわりながら,観光案内所へ.

 時間にして40分ほどあったので,まだ行っていなかった, グリーン・ゲイブルス郵便局へ.ここから手紙を出すと,グリーン・ゲイブルスの消印が 押されるということだが,すっかり忘れていて出せなかった.

 それでも,ここでした買うことのできない記念切手を購入し,郵便局内を見学. 当時の郵便業務が説明されており,映像は日本語にも切り替え可能だった.

郵便局
グリーン・ゲイブルス郵便局

 17:00までの郵便局.しかし,シャトルバスが迎えに来るのは18時過ぎ. 1時間というのは潰そうにもなかなか潰せないものである. そこで,ちょうどきたトロリーに再びのり,キャベンディッシュ巡りと洒落込んだ.

 もちろん事前にトロリーのおっちゃんにシャトルの時間に間に合うか聞いたのだが, 1時間で周遊するこのトロリー.時間を潰すにはちょうどいいものだ.なにせ, 一度のってるからお金はかからない.それに,景色も疲れることなく楽しめる.

 ほんの数時間前に歩いた道のりを,進むトロリー.恨めしくなるほど早く,快適だった. 途中,ゴルフ場で運転手がトイレだか,雑談だか,ソフトクリームを買いにいったのだが しらないが,中々帰ってこず,心配もしたが,無事に時間内に到着.

 シャトルバスは,かなり混んでいたが,ちゃんと来るときに予約していたので,問題なく 乗れた.シャーロットタウンまでの道のり.いつのまにか寝てしまったようだ. 気づいたら,ダウンタウンの入り口.顔をたたき,夕飯にそなえた.

 

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